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「ブラック企業」潰しに労働局は本気で汗をかいてほしい。

8日、厚生労働省が『若者の「使い捨て」が疑われる企業等』が社会的に問題になっている現状に鑑みて、その具体的対策を発表した。俗にいう「ブラック企業」対策である。
次の三点を取組の柱にするという。
1.長時間労働の抑制に向けて、集中的な取組を行います。
2.相談にしっかり対応します。
3.職場のパワーハラスメントの予防・解決を推進します。

報道発表資料はとりあえずお決まりの体裁をつくっただけとの印象を受けた。
別紙リーフレットのトップのイラストの労働者が悩んでいる3項目の方が、労働者の悩みの実態を表現している。
①毎日がんばっているのに、家に帰り着くのはいつも深夜、ひどい時には家に帰れないことも・・・
②毎日遅くまで残業をしているが残業手当がつかない
③休みたくても「年次有給休暇はない」と言われた
この三項目は確かに、理不尽な働き方を強いられている労働者にとってWorst3である。

とくに中小企業においては、上記三項目は常態になっている企業が少なくない。
大企業ともなれば、時間外労働の労使協定(36協定)を締結・届出を行っているし、残業手当(サービス残業はあるにせよ)も一応支払っている。また、年次有給休暇についても、取得のしやすさには差があるが制度的には管理されている。

つまり大企業は一部には法の潜脱が認められるものの、一応合法的な手続きは取られている。しかし、中小企業においては、合法的な経営体制を整える資金的余裕がないとか、あるいは、労働法制を知らないというケースがきわめて多い。この二重構造が、「法と実態との乖離」という日本の労働社会の最大の問題である。

これら中小企業における労働実態をいかにして労働法が求める姿に近づけるのか、これこそが労働局という監督行政機関が体を張って取り組むべき問題と考える。

特定日の電話相談とか、そんなパフォーマンスではなく、日常の監督業務の中で、「労働者に寄り添う」ことである。以前にもこのブログで記したが、「年休がないと言われた」という電話はいまだに結構コンスタントに労働局や労基署に入ってくる。しかし、その際の監督官の対応は言葉は丁寧であるが、極めて不親切と言わざるを得ない。やれ、年休を申し出た証拠書類はあるかなどなど、確かに行政の手続上はその通りかもしれないが、「そんな会社はケシカラン」と労働者を救ってやろうという意欲を感じない。年次有給休暇は生理休暇とは少し意義や重みが異なる。労基法の条文を改定してでも、EUのように使用者に年休カレンダーを作成する義務まで課すべきと思う。

労働局(労基署)の監督官の人員が少ないから手が回らないというのも現実かもしれない。
しかし、パソコン画面にかじりついていて、飛んでくる火の粉をいかにして振り払うかということにひたすら努めている監督官も決して少なくない。

個々の監督官は優秀な人材であるが、行政としての仕事の仕組みに問題があるのだろう。
世間で騒がしい問題が起これば、「とりあえずの形だけ」というパフォーマンスでその場しのぎをするのではなく、問題をつぶす「仕組みやシステム」を考えてほしい。本省をみて本省の指示の範囲でしか動かない行政の現状を変えるべきではないだろうか。

労働局の窓口に訪れた知的なジェントルマンだったアメリカ人が帰り際に言った言葉がいまだに忘れられない。「日本の労働法は労働者を守るためのものではなく、経営者を守るためのものなのですね」。

日本の労働法は世界の中で、決して見劣りするものではないと多くの学者は言っておられる。私は、その労働法の解釈と行政官による運用の在り方に問題があるとみている。

悪徳使用者を叩く意欲も湧いてこない監督官諸氏には、夏季休暇中に、映画「The Lone Ranger」を見ることをお勧めしたい。
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プロフィール

畠山 奉勝

Author:畠山 奉勝
1944年生まれ。電機メーカー定年後、大阪労働局監督課で指導員を担当。全国に先駆けて大学生・高校生などを対象にした若者労働法教育のレールを敷く。

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